ContentsEV戦略を見直す大手自動車メーカー
脱炭素の実現に向けて、一時、世界の大手自動車メーカーがEV生産によってシェアを高める動きが顕著になりました。米テスラなど、比較的業歴の短いEV専業企業の成長期待は高まり、中国の上海蔚来汽車(ニオ)など新興勢の参入も相次ぎました。
ところが、ここにきて大手自動車メーカーはEV戦略の修正に追い込まれているようです。その背景には、いくつかの要因があります。まず、世界最大の自動車市場の中国で、過剰生産能力が深刻化しEVの値下げ競争が激化しました。また、世界的にEVの航続距離の短さ、安全性、インフラ未整備などEV利用の課題も表面化しました。米国では多くの需要者は、わが国自動車産業が競争力を持つハイブリッド車(HV)に向かいました。それに伴い、欧米の主要自動車メーカーは、エンジン車、HV、プラグインバイブリッド車(PHV)、水素を用いた燃料電池車(FCV)など“全方位型”の戦略への修正を急いでいるといわれています。
今後、米国の景気が減速すると、世界的に自動車の需要鈍化の懸念は高まるでしょう。1990年代初頭のバブル崩壊以降、自動車産業はわが国の景気回復を支えるけん引役の役割を果たしました。現在、米国向けの自動車輸出は、国内経済の重要な下支え要素です。世界経済の先行き不透明感が高まりつつある中、国内の自動車メーカーがどう収益性を高めるか注目されます。
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1953年神奈川県生まれ。76年、一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。83年7月ロンドン大学経営学部大学院卒業。メリルリンチ社ニューヨーク本社出向などの後、市場営業部、資金証券部を経て、第一勧銀総合研究所金融市場調査部長。現在、多摩大学特別招聘教授。『はじめての金融工学』(講談社現代新書)など著書多数。
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