Contentsわが国のインバウンド需要の現状と今後の展開予想
近年、わが国の経済にとって、“インバウンド需要”の重要性は高まっています。インバウンド需要は、海外からわが国にやってくる来訪客による需要です。その代表は、海外からの観光客です。彼らが落としてくれる、飲食、宿泊、交通などの消費が主なものです。
観光庁によると、昨年のインバウンド消費額は、訪日外国人旅行消費額で8兆1,257億円と統計開始来の過去最高でした。インバウンド需要は、国内総生産(GDP)の中でサービスの輸出に分類されます。わが国の経済にとって、インバウンド需要は自動車の輸出(約18兆円)に次ぐ規模に成長しました。
今年初から足許までのインバウンド需要を見ると、春先から夏ごろまで、わが国を訪れる外国人観光客などの増加ペースは鈍化しました。その主な要因に、為替レートの影響があったと考えられます。その後、インバウンド需要は再び増勢を取り戻しつつあります。
中長期的な目線で見ると、世界の旅行需要はほぼGDP成長率に連動しています。米国や中国の景気循環、政策の影響を受けつつも、わが国経済のインバウンド需要は増加傾向になるとみられます。今後、インバウンド需要をどう活かすかで、飲食、宿泊、交通などの分野にかなりのインパクトがあるはずです。
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1953年神奈川県生まれ。76年、一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。83年7月ロンドン大学経営学部大学院卒業。メリルリンチ社ニューヨーク本社出向などの後、市場営業部、資金証券部を経て、第一勧銀総合研究所金融市場調査部長。現在、多摩大学特別招聘教授。『はじめての金融工学』(講談社現代新書)など著書多数。
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