Contents【法改正解説】安全・安心な職場環境を整備し多様な人材を確保するための新たな制度「労働安全衛生法の改正」とは

2025年５月に成立した「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」（改正労働安全衛生法等、公布日2025年5月14日）は、多様な人材が安全に、かつ安心して働き続けられる職場環境の整備を推進するため、従来の労働者保護の枠を超えた広範な対策を企業に求めている。本改正は、個人事業主やフリーランスを含む「作業従事者」の安全確保、高年齢労働者対策の推進、化学物質による健康障害防止対策の強化など、多岐にわたる重要な措置を講ずるものであり、企業の安全衛生管理体制を抜本的に転換させるものである。

労働力人口の減少が深刻化する現代において、企業が持続的に成長し、競争力を高めていくためには、すべての働く人々が尊重され、安心して個々の能力を最大限に発揮できる環境の整備が不可欠である。本改正は、法令遵守のみならず、優秀な人材の定着や、企業のレジリエンス向上など、経営戦略に直結する重要な対応措置といえる

本稿では、企業として、速やかに対応すべき主要な改正事項とその実務的な影響を解説する。