Contents賃金動向が日本経済へ与える影響

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過去約30年の間、わが国の賃金は伸び悩んできました。その要因の一つに、資産バブル崩壊の影響があります。1990年の年初、わが国の株価は下落に転じました。1991年半ば、地価も下げ始めました。

不良債権処理の遅れもあり、日本経済は長期の低迷期に入りました。企業経営者はリスクを取りにくくなり、リスク回避の心理が鮮明化したといえます。それに伴い、わが国の平均賃金は1997年にピークを付けた後、殆ど上昇していない情況です。国際的にみても、わが国の賃金の上昇ペースは欧米の主要国を下回っています。

ところが、最近、人手不足もあり賃金引き上げの動きが鮮明化しています。今年の春闘で、基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合計した、平均の賃上げ率は5.10%に達しました。

一方、わが国企業全体の内部留保は増えています。2022年度の利益剰余金額は554兆円を超えました。それは賃上げの原資になりえるといえるでしょう。今後、生産性の向上を通した賃金水準が上昇することは、わが国経済にとって大きなプラス要因になると期待されます。そのために、政府も規制緩和など企業の成長意欲を高める経済政策を積極化することが重要になります。

 

 

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真壁 昭夫
【プロフィール】
真壁 昭夫

1953年神奈川県生まれ。76年、一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。83年7月ロンドン大学経営学部大学院卒業。メリルリンチ社ニューヨーク本社出向などの後、市場営業部、資金証券部を経て、第一勧銀総合研究所金融市場調査部長。現在、多摩大学特別招聘教授。『はじめての金融工学』(講談社現代新書)など著書多数。

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