Contents[本物にこだわるものづくり] 江戸組子 建松
この記事は東京三昧カレンダー2026春号(2026年2月27日発刊)に掲載された内容を一部抜粋したものです。
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『東京三昧カレンダー』とは
季節の移ろいや人々の営みのなかにこそ、忘れかけている本来の東京の姿が浮かび上がる——
本誌は23区の観光協会や区役所などから寄せられた情報をもとに、東京の魅力を発信する情報誌です。
今号は東京の春をテーマに、地域に根差した情報をお届けいたします。
特集[本物にこだわるものづくり]
不完全なものに「美」は宿る
~伝統技術で家屋を華やかに彩る江戸組子~
取材・文・撮影:伊藤成明/更屋遥洋
野山でなく、屋内に咲く花がある。それが、障子や欄間を彩る「組子細工」だ。釘を使わず小さな木片を手作業で組み合わせ、繊細かつ華やかな幾何学模様を作り上げる。建具職人の技の粋を尽くした逸品は、時にほの白く浮かび上がり、時に茜色の夕日に染まりながら、変幻自在に印象を変える。光の当たる角度によって表情が移り変わるその様は、谷崎潤一郎が『陰翳礼讃』で描いた、日本ならではの「美」そのものだ。
今号では、ほぼすべての工程を手作業で行う伝統的な技法を駆使して組子細工を手掛ける「江戸組子 建松」を取材。不完全だからこその「美」を追い求める職人の揺るぎない信念に迫る。
■「ななつ星 in 九州」をきっかけに
組子細工の認知度が高まる
工房の奥で、鉋の音が静かに響く。1982年に「田中建具店」を創業した田中松夫さん。1998年に息子である 2 代目・孝弘さんが家業に入って修業を始めた。「当時は組子細工の引き合いはゼロ。ドアや輸入材で作る一般的な障子、工務店から請け負う建具仕事が中心だった」と孝弘さんは笑う。家業に入ったばかりの頃は、周囲から「どうしてこんな仕事をやるんだ」と心配されたという。
風向きが変わったのは2013年頃。同年に運行を開始したクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」の内装に、組子細工(大川組子)が採用されたのだ。最高級の空間に組子細工が使われたことで、「特別なもの」というイメージが世に広まった。「我が家の建具にも組子細工をあしらってほしい」。認知度の高まりとともに、そんな注文が孝弘さんのもとに届くようになった。「組子細工は、屋内に籠って作業することが多いため、もともと雪国など地方で盛んな技。東京では職人が少なく珍しいから、うちのホームページを見てオファーが来る」と孝弘さんは語る。百貨店での展示販売も増えたことを機に、思い切って店名を「江戸組子 建松」へ改めた。東京にも組子を作る職人がいることを広めたい――そんな想いを、新たな屋号に込めたのだ。
現在、「江戸組子 建松」では孝弘さんがたった一人で制作を行っている。一般家庭の障子や欄間からマンションのエントランス、商業施設の内装意匠まで依頼はひっきりなしで、注文は1年待ちだという。孝弘さんの生み出す美しい世界観と職人技に惚れ込み、「工房を見学したい」「作り方を教えてほしい」と、海外から訪れる人も後を絶たない。
(残り1274文字)
この記事は東京三昧カレンダー2026春号(2026年2月27日発刊)に掲載された内容を一部抜粋したものです。
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==========<企業情報>==============
江戸組子 建松
創業:1982年
所在地:〒133-0065 東京都江戸川区南篠崎町2-20-8
TEL:03-3678-3916
営業時間:10:00~17:00(不定休)
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