Contentsわが国経済の現状と当面の展開予想

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足許、わが国経済の回復ペースは鈍い状況になっています。5月16日、内閣府経済社会総合研究所が発表した、今年1-3月期の国内総生産(GDP)の1次速報値は、物価の影響を除いた実質ベースで前期比0.5%減少(年率で2.0%減少)でした。

経済の明るい面として、米国などへの輸出が底堅く推移し、円安傾向が強まりインバウンド需要も盛り上がりました。

また、北海道や熊本県などでの大型の半導体工場建設、省人化投資などで、設備投資も相応の動きを示しました。しかし、大規模な震災に見舞われたことに加えて、自動車部門の一部生産活動が停滞したこともありマイナス成長となってしまいました。

また、注意が必要な点は、個人消費に勢いがないことです。賃金の上昇ペースが物価の上昇に追いつかず、GDPの半分以上を占める個人消費が盛り上がっていません。

こうした展開はもう少し続きそうです。ただ、6~7月にかけ春闘の賃上げの効果は徐々に出てくると予想されます。そのころまでに物価が落ち着いていれば、わが国全体で実質ベースの賃金は上向くと予想されます。それによって、個人消費が幾分か持ち直す可能性はあるでしょう。

一方、中東情勢や円の為替レートの展開次第で、輸入物価が上昇する恐れは残ります。物価の上昇は、個人消費の回復の足を引っ張ります。中国経済は低迷気味に推移し、対中輸出の伸び悩みも懸念されます。当面、景気持ち直しの足取りは鈍い状況が続くと考えた方がよさそうです。

 

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真壁 昭夫
【プロフィール】
真壁 昭夫

1953年神奈川県生まれ。76年、一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。83年7月ロンドン大学経営学部大学院卒業。メリルリンチ社ニューヨーク本社出向などの後、市場営業部、資金証券部を経て、第一勧銀総合研究所金融市場調査部長。現在、多摩大学特別招聘教授。『はじめての金融工学』(講談社現代新書)など著書多数。

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